私たちは自分たちが思った以上に、
社会の規範や文化などに制限されています。
吉福さんはかつてこんなことを言っていました。
「文化というものが果たす役割は、守ってくれると同時に束縛する。
文化は、個人が文化のなかで発達成長に必要なものを与え、
安全、安心な空間を与える。
と同時に、文化の外に出る人間は、排除したり出ることを止める。
親子の関係と同じです。親は子供を守るけれど、
守ってあげる代わりに言うことをきかせるようなもの」
私たちは自由意志で選択して生きていると思っているけれども
じつは社会的な規範だの文化的な作法だのにガチガチに縛られて、
そのなかでオートマチックに反応して生きているだけで、
自分で考えることもほとんどないのです。
このことをチャールズ・タートは「集合的トランス状態」と名付け、
「日常生活における眠り」と表現しています。
そしてタートは「通常の意識状態というのも変性意識の
一構造形態である」と考えていました。
「集合的トランス状態」の中で自分が生きているということを、
しっかり自覚し、目覚めることが大事だとタートはいいます。
変性意識という概念を作り出したのはタートですが、
「日常生活における眠り」の中に生きているという考え方は
チャールズ・タート一人が言っていることではありません。
もともと「永遠の哲学」といわれる思想の系譜があり、
プラトン、ショーペンハウエル、ユング、ニュートン、アインシュタインなど、
多くの哲学者、科学者たちに受け入れられてきたものでした。
宗教でも「日常生活における眠り」という考えは、ヒンドゥー教、仏教、
タオイズム、スーフィズムなどの教えの核心的な部分でもあるのです。
アウェアネスアート®研究所は、
アウェアネス(目覚め)+アート(技術/芸術)をテーマに様々な手法を駆使して
しかも面白ろがりながら、この「目覚めること」にチャレンジしています。
「通常意識ではない変性意識」に入り込むことで、
規範や束縛にとらわれない、わずかでも枠から外れたところから、
自分をみて感じられるように、より自由で新しい何らかの体験をする場にしています。
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アウェアネスアート®研究所 主宰 新海正彦